0. 導入:なぜ「高3から頑張る」では間に合わないのか
「大学受験は高3になってから本気でやればいい」
ひと昔前までは、こうした考え方でも何とかなった時代がありました。しかし、今の大学受験は明らかに様変わりしています。
まず前提として、大学受験は年々競争が激しくなっています。少子化が進んでいる一方で、難関大学や人気学部に挑戦する受験生の数は減っていません。倍率は基本的に3倍前後、つまり3人に1人しか合格できない厳しい戦いです。「頑張った人が受かる」のではなく、「準備が整っている人が受かる」試験になっています。
さらに、入試制度自体が複雑になりました。一般入試だけでなく、総合型選抜や学校推薦型選抜が広がり、国公立大学でも定員の一部を総合型で募集するのが当たり前になっています。高3から一般入試の勉強をしながら、志望理由書を書き、活動実績を整理し、面接や小論文の対策まで同時に行う――これは現実的にかなり厳しいスケジュールです。
実際に「高3から頑張って合格できる生徒」もいます。ただし、それはごく一部です。中学・高校時代から英語や数学がかなり仕上がっていた、学習習慣がすでに確立していた、もともとの地頭が非常に高かった、など再現性の低い条件がそろっているケースがほとんどです。多くの生徒がそれを真似しようとして失敗している、というのが現場で見てきた実感です。
今の大学受験で求められているのは、「いつから本気を出すか」ではなく、「いつまでに何を終わらせておくか」という発想です。特に英語と数学は、高3で一気に仕上げようとすると時間も負担も大きくなり、他の対策を圧迫します。
だからこそ重要になるのが、先取り学習と逆算設計です。高3は“仕上げの年”にする。そのために、高1・高2のうちに一般入試の見通しを立て、総合型選抜に使える材料も少しずつ積み上げておく。この準備ができているかどうかで、高3の過ごし方はまったく別物になります。
この先の章では、一般入試と総合型選抜を両立させるために、どの時期に何をすべきか、どこを先取りすべきかを具体的に整理していきます。
1. まず全体像:大学受験の入試方式を整理する
大学受験を考えるうえで、最初にやっておくべきことは「入試方式の全体像を正しく知ること」です。ここが曖昧なまま勉強を始めてしまうと、途中で方向転換が必要になったり、無駄な努力が増えたりします。
現在の大学受験は、大きく分けて一般入試と推薦系入試(総合型選抜・学校推薦型選抜)の2本柱で成り立っています。それぞれ求められる力も、準備の仕方も大きく異なります。
1-1. 一般入試とは何か
一般入試は、共通テストと各大学の個別試験(2次試験)、または私立大学の学力試験によって合否が決まる、いわゆる「学力勝負」の入試です。
国公立大学の場合は、共通テスト+2次試験が基本となります。大学や学部によって配点比率は異なりますが、英語・数学を軸に、国語・理科・社会・情報まで含めた幅広い学力が求められます。私立大学でも、英語を中心に複数教科での安定した得点力が必要です。
一般入試の特徴は、準備に時間がかかり、短期間での逆転が難しい点です。その分、早くから積み上げてきた生徒ほど有利になります。
1-2. 総合型選抜・学校推薦型選抜とは
推薦系入試には、学校推薦型選抜(指定校推薦・公募推薦など)と、総合型選抜があります。私立大学ではAO入試と呼ばれていたものが、現在は総合型選抜に統一されています。
これらの入試では、学力試験だけでなく、志望理由書、活動報告書、小論文、面接、グループディスカッションなどが課されます。つまり、「これまで何を考え、何に取り組んできたか」「大学で何を学びたいのか」を言語化する力が強く問われます。
特に近年は、国公立大学でも定員の一部を総合型選抜で募集するケースが増えており、推薦系入試は決して一部の特殊な受験生だけのものではなくなっています。
1-3. 指定校推薦の位置づけ
指定校推薦は、大学から高校に割り当てられた枠を、高校内で選考して出願する方式です。一度校内選考を通過すれば、合格率は非常に高いのが特徴です。
ただし、評価基準はほぼ高校の成績(評定平均)です。高1からの定期テストや提出物がそのまま結果に直結するため、後から巻き返すことは難しくなります。
一般入試・総合型選抜・指定校推薦は、それぞれ独立したものではありません。どれか一つに決め打ちするのではなく、どの選択肢も取れる状態を作っておくことが、今の大学受験では非常に重要になっています。
次の章では、なぜ今「一般入試×総合型選抜の両にらみ」が必要になってきているのか、その背景を整理していきます。
2. 「両にらみ」が必要になってきた背景
ここまでで、大学受験には一般入試と推薦系入試(総合型選抜・学校推薦型選抜)があることを整理しました。では、なぜ今「どちらか一方」ではなく、「両にらみ」が必要だと言われるようになってきたのでしょうか。
結論から言えば、入試制度の変化と、合格の再現性を高めるためです。
2-1. 総合型選抜の比率が確実に増えている
以前は、総合型選抜や推薦入試は「一部の生徒のための特別ルート」という位置づけでした。しかし現在は、国公立大学でも定員の最大3割まで総合型選抜で募集可能となり、実際にその枠を積極的に使う大学が増えています。
特に地方国公立大学や公立大学では、総合型選抜の倍率が一般入試より低いケースも多く、戦略次第では大きなチャンスになります。これは「学力が足りない人向け」ではなく、「準備ができている人向け」の入試に変わってきていると言えます。
2-2. 一般入試だけに絞るリスクが高くなっている
一般入試は今でも王道であり、決して不要になったわけではありません。ただし、共通テストの難化・思考力重視への変化、英語外部検定の影響などにより、安定して得点する難易度は年々上がっています。
一般入試一本に絞った結果、共通テストで失敗し、そのまま志望校を下げざるを得なくなるケースは決して珍しくありません。選択肢を一つに絞ること自体が、大きなリスクになりやすい時代です。
2-3. 英検など外部検定が「両方」に効くようになった
もう一つの大きな変化が、英検などの外部検定の扱いです。以前は推薦系入試での評価が中心でしたが、現在は一般入試でも、出願要件・加点・得点換算などで利用できる大学が増えています。
つまり、英検対策は「総合型のためだけ」でも「一般のためだけ」でもなく、両方に効く共通投資になっています。こうした仕組みの変化も、両にらみ戦略を後押ししています。
2-4. 合格の再現性を高めるという考え方
受験で一番怖いのは、「一発勝負」にすべてを賭けることです。一般入試一本、総合型一本、指定校一本――どれも失敗したときのダメージが大きくなります。
一方で、一般入試を軸にしながら総合型選抜も視野に入れて準備している生徒は、試験本番での揺れや制度変更にも強い傾向があります。結果として、第一志望に届かなくても、納得感のある進学先を確保できる可能性が高まります。
このような理由から、今の大学受験では「どちらか」ではなく、「どちらも取れる状態」を作ることが重要になっています。
ただし、ここで一つ注意点があります。両にらみは正しい戦略ですが、やり方を間違えると失敗します。次の章では、実際によくある「両にらみの落とし穴」について整理していきます。
3. 失敗しやすい「両にらみ」の落とし穴
一般入試と総合型選抜の両にらみは、今の大学受験において非常に有効な戦略です。ただし、やり方を間違えると、むしろ合格から遠ざかってしまうケースも少なくありません。
現場でよく見る失敗パターンを整理すると、「両にらみ」がうまくいかない理由は、ほぼ決まっています。
3-1. 一般入試の勉強が中途半端になる
総合型選抜を意識するあまり、一般入試の勉強量が不足してしまうケースです。
志望理由書や活動実績づくりに時間を取られ、英語や数学の基礎が固まりきらないまま高3を迎えてしまうと、共通テストや私立一般で安定した得点が取れません。その結果、「総合型がダメだったら一般で…」という保険が機能しなくなってしまいます。
一般入試は、直前期にどうにかなるものではありません。積み上げ不足は、ほぼ確実に本番で露呈します。
3-2. 総合型選抜の準備が浅くなる
逆に、「一般入試が本命だから」と総合型選抜を軽く考えてしまうケースもあります。
総合型選抜は、直前に志望理由書を急いで書けば何とかなる、というものではありません。活動実績の整理や、自分の考えの言語化には時間がかかります。準備不足のまま出願しても、面接や小論文で内容の薄さはすぐに見抜かれてしまいます。
結果として、「せっかく出せた総合型が全滅し、一般入試一本勝負になる」という状況に陥りやすくなります。
3-3. 時間管理が崩壊する
高3になると、学校の授業、定期テスト、模試、部活、行事などで、想像以上に時間が削られます。その中で一般入試と総合型選抜を同時進行しようとすると、何から手を付ければいいのかわからなくなる生徒が多くなります。
「今日は英語、明日は志望理由書、その次は小論文…」と場当たり的に動いてしまい、どれも中途半端になってしまうのが典型例です。
3-4. ゴール設定が曖昧なまま走ってしまう
両にらみがうまくいかない最大の原因は、ゴールが曖昧なまま動き始めてしまうことです。
どのレベルの大学を、どの入試方式で狙うのか。そのために英語・数学はどこまで仕上げる必要があるのか。総合型選抜では、何を軸にアピールするのか。これらが整理されていないままでは、努力が分散し、成果につながりません。
つまり、両にらみは「欲張り」なのではなく、設計なしで同時進行することが失敗の原因なのです。
では、どうすればこの落とし穴を避けられるのでしょうか。次の章では、両にらみを成立させるための最大のカギである「先取り学習」について詳しく解説していきます。
4. 解決策は「先取り」:高3で両方やるための時間を作る
一般入試と総合型選抜の両にらみが失敗しやすい最大の理由は、「高3の時間が足りない」ことです。では、その問題をどう解決すればよいのでしょうか。
結論はシンプルで、高3でやるべきことを、高1・高2のうちに前倒ししておくことです。これが、両にらみ戦略を成立させるための唯一と言っていい解決策です。
4-1. なぜ高3の時間は足りなくなるのか
高3になると、受験勉強に集中できると思われがちですが、実際にはそう簡単ではありません。
学校の授業は受験対策色が強くなり、定期テストも続きます。模試はほぼ毎月あり、進路面談や提出書類の準備も増えていきます。部活を引退する時期も人それぞれで、思ったほど自由な時間は確保できません。
その状態で、一般入試の本格対策と、総合型選抜の準備を同時に始めようとすると、ほぼ確実に時間が破綻します。
4-2. 「先取り」は高3を楽にするための投資
先取り学習というと、「無理に難しいことを早くやる」というイメージを持たれることがありますが、本質はそこではありません。
先取りの目的は、高3で新しいことをやらなくて済む状態を作ることです。英語や数学の基礎〜標準レベルがある程度完成していれば、高3では演習と調整に集中できます。その結果、空いた時間を総合型選抜の対策に回すことが可能になります。
4-3. 先取りの優先順位は「英語・数学」
すべての科目を先取りする必要はありません。むしろ、やるべき科目を絞ることが重要です。
優先順位は明確で、英語と数学が最優先です。この2科目は、一般入試の軸になるだけでなく、総合型選抜でも学力の裏付けとして評価されやすい科目です。
英語は、語彙・文法・読解の積み上げに時間がかかり、短期間での完成が難しい科目です。数学も同様に、考え方の理解と演習量がものを言います。だからこそ、この2科目は早くから手を付ける価値があります。
4-4. 先取りが効く生徒・効きにくい生徒
先取り学習は万能ではありません。効きやすい生徒と、注意が必要な生徒がいます。
先取りが効きやすいのは、学習習慣がある程度身についている生徒や、理解を重視して勉強できる生徒です。一方で、定期テスト前しか勉強しない、暗記に頼りがちな生徒は、進度を上げる前に学習姿勢そのものを整える必要があります。
重要なのは、「早く進むこと」ではなく、「高3で困らない状態を作れているかどうか」です。
次の章では、先取り学習を成功させるために欠かせない、「英語・数学の到達点をどう逆算するか」について具体的に解説していきます。
5. 逆算設計:英語・数学の到達点をどう決めるか
先取り学習を成功させるために、もう一つ欠かせないのが「到達点の設定」です。ただ何となく先に進むだけでは、先取りはうまく機能しません。
大切なのは、志望校から逆算して「どこまでできていれば十分か」を明確にすることです。
5-1. 志望校タイプ別に必要な到達点を考える
大学や学部によって、英語・数学に求められるレベルは大きく異なります。まずは志望校を大まかに分類し、それぞれに必要な到達点を把握しましょう。
国公立大学志望の場合は、共通テストで安定して得点できる力と、2次試験で通用する記述力・思考力が必要です。私立大学志望の場合は、英語を軸に、出題形式に特化した対策が重要になります。総合型選抜を併用する場合でも、学力の裏付けとしてこのラインは変わりません。
「どの大学を、どの方式で受ける可能性があるのか」を想定したうえで、必要最低限の到達点を決めておくことが重要です。
5-2. 学年別の到達目安
逆算設計をする際には、「いつまでに、どこまで終わっていればよいか」を学年ごとに区切って考えると分かりやすくなります。
一つの目安として、高2の終わりまでに、一般入試の見通しが立っている状態を目標にすると、その後の選択肢が大きく広がります。
例えば英語であれば、高1の終わりまでに基本的な文法と語彙を固め、高2の間に長文読解と演習に入れる状態が理想です。数学も同様に、高2までに主要単元を一通り終え、典型問題で困らないレベルを目指します。
5-3. 「できる・できない」を数値で管理する
到達点は、感覚ではなく数値で管理することが重要です。
英語であれば、英検の級、模試の偏差値、共通テスト模試の得点率などが目安になります。数学も、模試の得点率や典型問題の正答率などで、現在地を把握することができます。
「何となくできている」ではなく、「この水準に達しているから次に進める」という判断ができると、先取りの失敗を防ぐことができます。
5-4. 週単位の設計に落とし込む
逆算設計は、年間計画だけで終わらせてはいけません。実際の勉強は、週単位・日単位で進みます。
どの週に何をやるのか、演習量はどれくらいか、復習のタイミングはいつか。ここまで落とし込めて初めて、逆算設計は意味を持ちます。
この設計ができていれば、先取り学習は「不安を生むもの」ではなく、「時間を生み出す武器」になります。
次の章では、英語の先取りと相性がよく、一般入試・総合型選抜の両方に効く「英検の戦略的な使い方」について解説していきます。
6. 英検を戦略に組み込む:一般にも総合型にも効く理由
先取り学習や逆算設計と非常に相性が良いのが、英検を戦略的に活用することです。英検は「資格試験」ですが、今の大学受験では単なるおまけではなく、一般入試・総合型選抜の両方に効く重要な武器になっています。
6-1. 英検は「使える場面」が年々増えている
現在の大学入試では、英検を以下のような形で利用できる大学が増えています。
- 出願要件として必要(一定の級以上が必須)
- 共通テストや個別試験での加点
- 英語の得点を満点換算・みなし得点にする
- 総合型選抜での評価材料として使用
特に私立大学では英検利用が当たり前になりつつあり、国公立大学でも2次試験での加点制度を導入する大学が増えています。つまり、英検対策は「どの入試方式を選んでも無駄にならない投資」なのです。
6-2. 英検は英語学習のペースメーカーになる
英語の勉強でよくある失敗は、「何をどこまでやればいいのか分からなくなる」ことです。その点、英検は明確な到達基準を示してくれます。
例えば、2級を目標にするなら語彙・文法・読解・英作文・リスニングまで一通りの力が必要になります。準1級を目指せば、難関大レベルの英語力が自然と要求されます。
このように、英検は英語学習全体のペースメーカー兼到達指標として非常に優秀です。
6-3. 目標級の考え方
目標とする英検の級は、志望校によって変わりますが、一つの目安は次の通りです。
- 地方国公立大学・中堅私立大学志望:英検2級
- 難関国公立大学・難関私立大学志望:英検準1級
ただし、「受かること」自体がゴールではありません。大切なのは、その過程で語彙力や読解力がしっかり身についているかどうかです。
6-4. 英検対策は「早め・計画的」に
英検は年に複数回受験できますが、高3になってから慌てて受けると、一般入試や総合型選抜の準備と重なり、負担が一気に増えます。
理想的なのは、高2までに目標級の目処を立てておくことです。そうすれば、高3では英語を「維持・演習」に回しながら、他の対策に時間を使う余裕が生まれます。
英検をうまく組み込めている生徒ほど、英語に振り回されず、受験全体を安定して進められる傾向があります。
次の章では、総合型選抜で合否を分ける最大のポイントである「活動ポートフォリオ」について詳しく解説していきます。
7. 総合型選抜の準備は「活動ポートフォリオ」が9割
総合型選抜というと、「面接がうまければ何とかなる」「志望理由書をきれいに書けば受かる」と思われがちですが、実際はそうではありません。
総合型選抜の合否を大きく左右するのは、これまで何を考え、どんな行動を積み重ねてきたかです。その土台になるのが「活動ポートフォリオ」です。
7-1. 活動ポートフォリオとは何か
活動ポートフォリオとは、高校生活を通して行ってきた活動や成果、考え方の変化を一つにまとめた記録のことです。提出を求められる場合もありますし、提出がなくても志望理由書や面接、小論文の素材になります。
ポイントは、「実績を並べること」ではありません。どんな経験を通して、何を考え、どう成長したのかが一貫して伝わる形になっているかどうかです。
7-2. 何をポートフォリオに入れるべきか
ポートフォリオに入るものは、特別な実績である必要はありません。例えば、以下のようなものが材料になります。
- 英検などの資格・検定
- 探究活動や課題研究
- 部活動・生徒会活動での役割や工夫
- ボランティアや地域活動への参加
- コンテスト・作文・プレゼンの経験
- 大学の公開講座や外部講座への参加
大切なのは、内容の派手さではなく、継続性と理由づけです。
7-3. 「盛る」のではなく「積む」
総合型選抜でよくある失敗が、直前になって実績を「盛ろう」としてしまうことです。短期間で作った活動は、面接ですぐに見抜かれます。
理想的なのは、高1から少しずつ活動を「積み」、その都度記録していくことです。活動の内容、きっかけ、工夫した点、うまくいかなかった点、次に考えたこと――これらを書き残しておくだけで、後の志望理由書の質が大きく変わります。
7-4. 志望理由書につながる「軸」を作る
ポートフォリオがあると、「なぜこの学部なのか」「なぜこの大学なのか」という問いに対して、一貫したストーリーを作りやすくなります。
活動が点でバラバラに存在していると、志望理由書は表面的になります。一方で、活動を通して関心がどう深まったかが整理されていれば、説得力のある文章になります。
総合型選抜は、才能や一発の表現力を見る試験ではありません。時間をかけて考え、行動してきたかどうかを見る試験です。
次の章では、これまでの内容を踏まえて、学年ごとに「何をしておくべきか」を整理した具体的なロードマップを示します。
8. 両にらみの実行プラン:学年別ロードマップ
ここまで、一般入試と総合型選抜を両立させるための考え方を整理してきました。では、実際にどの学年で何をしておけばよいのでしょうか。
この章では、「高3を仕上げの年にする」ための学年別ロードマップを示します。
8-1. 高1:土台づくりとポートフォリオの型を作る
高1は、受験勉強のスタート地点です。この時期に一番大切なのは、学習習慣を固めることと、先取りができる状態を作ることです。
英語と数学を中心に、学校の授業内容を確実に理解し、余力があれば少しずつ先取りを始めます。また、英検の受験を通して、英語学習のペースを作るのも効果的です。
同時に、活動ポートフォリオの「型」を作っておきましょう。部活や行事、探究活動などで考えたことを、簡単でいいので記録する習慣をつけておくと、後が非常に楽になります。
8-2. 高2:一般入試の見通しを立て切る
高2は、両にらみ戦略において最も重要な学年です。目標は、高2の終わりまでに一般入試の見通しを立てることです。
英語・数学は、主要単元を一通り終え、模試や演習で通用する状態を目指します。英検も、この時期までに目標級に一度は挑戦しておきたいところです。
総合型選抜に向けては、ポートフォリオの中身を充実させる時期です。興味のある分野を少し深掘りし、活動に「軸」を持たせることを意識しましょう。
8-3. 高3:一般の仕上げと総合型の完成
高3は、これまで積み上げてきたものを形にする一年です。
一般入試については、新しいことに手を出すのではなく、演習と弱点補強に集中します。共通テスト対策や過去問演習を通して、得点を安定させることが目標です。
総合型選抜では、志望理由書や活動報告書を完成させ、面接や小論文の対策を行います。高1・高2で準備してきたポートフォリオが、この段階で大きな力を発揮します。
この流れができていれば、高3の秋以降も精神的に余裕を持って受験に臨むことができます。
次の章では、受験生や保護者の方からよく寄せられる疑問について整理していきます。
9. よくある質問(親子が迷うポイント)
ここまでの内容をお話しすると、保護者の方や生徒さんから、ほぼ必ず出てくる質問があります。この章では、特によくある悩みや迷いについて整理しておきます。
9-1. 部活は続けるべきですか?
結論から言えば、基本的には続けた方が良いと考えています。
部活動は、総合型選抜において立派な活動実績になりますし、最後までやり切った経験は志望理由書や面接でも強い材料になります。また、部活を続けながら勉強を両立できている生徒は、時間管理能力が高く、一般入試でも安定した結果を出しやすい傾向があります。
ただし、勉強時間が極端に確保できない場合は、引き際を戦略的に考える必要があります。「なんとなく続ける」「周りに合わせて辞める」のではなく、受験全体の設計の中で判断することが大切です。
9-2. 総合型選抜に向いているかどうかは、いつ分かりますか?
「総合型向き・不向き」は、早い段階で決めつける必要はありません。
高1・高2のうちは、一般入試を軸に学力を伸ばしながら、活動を積み上げていくのが理想です。その過程で、「話せる材料が増えているか」「自分の興味関心を言語化できているか」を見ていけば、自然と向き不向きが見えてきます。
最初から総合型を狙いに行くのではなく、結果的に使える状態になっているのが、最も失敗しにくい形です。
9-3. 途中で志望校や学部が変わったらどうすればいいですか?
志望校や学部が途中で変わること自体は、決して悪いことではありません。むしろ、成長の過程ではよくあることです。
大切なのは、活動ポートフォリオが「一点特化」になりすぎていないかどうかです。興味関心の軸がしっかりしていれば、多少方向が変わっても、志望理由書は十分に書き直せます。
だからこそ、「この大学に行くための活動」ではなく、「自分が考えて行動した記録」を積んでおくことが重要になります。
9-4. 地方国公立大学×総合型選抜は本当に狙い目ですか?
はい、戦略的には非常に狙い目です。
地方国公立大学の総合型選抜は、倍率が比較的低く、評価基準も明確なことが多いです。学力を一定レベルまで仕上げたうえで、地域性や将来像と結びついた志望理由を用意できれば、十分に勝負になります。
一般入試だけで考えると厳しく見える大学でも、総合型選抜を含めて見ることで、現実的な選択肢になるケースは少なくありません。
次の章では、この記事のまとめとして、「最短で結果を出す生徒に共通する考え方」を整理します。
10. まとめ:最短で結果を出す人の共通点
ここまで、一般入試と総合型選抜を両立させるための考え方と具体策を整理してきました。最後に、実際に結果を出している生徒に共通しているポイントをまとめておきます。
10-1. 早い段階で「見通し」を持っている
うまくいく生徒は、「とりあえず今を頑張る」ではなく、いつまでに何を終わらせるかという見通しを早くから持っています。
完璧な計画である必要はありませんが、「高2の終わりまでにここまで」「高3では仕上げに集中する」といった大枠があるだけで、日々の勉強の質は大きく変わります。
10-2. 先取りで「時間」を買っている
受験において最も貴重な資源は時間です。結果を出す生徒は、英語・数学の先取りによって、高3の時間を意図的に空けています。
その結果、一般入試の演習と総合型選抜の対策を無理なく並行でき、精神的にも余裕を持って受験期を迎えることができます。
10-3. 活動を「記録」し、言語化している
総合型選抜で強い生徒は、特別な実績を持っているわけではありません。日々の活動を振り返り、考えたことを記録し、少しずつ言語化してきた生徒です。
この積み重ねが、志望理由書や面接での説得力につながります。結果として、一般入試が本命であっても、総合型選抜という強力な選択肢を持つことができます。
最短で結果を出す生徒は、「才能」よりも「設計」で差をつけています。
11. 最後に:長期視点の受験戦略という考え方
今の大学受験は、高3からの努力だけで乗り切れるほど単純ではありません。その一方で、早くから正しい方向で準備できていれば、過度に追い込まれる必要もありません。
大切なのは、目先の入試だけを見るのではなく、中学・高校・大学までを一本の線で捉える長期的な視点です。英語や数学の先取り、学習習慣の定着、活動ポートフォリオの積み上げは、そのための手段にすぎません。
1対1指導塾ブリエットでは、目の前のテストや入試対策だけでなく、その先の高校生活・大学受験まで見据えたトータルな学習設計を大切にしています。
「今の勉強の仕方で大丈夫か不安」「一般入試と総合型選抜、どう考えればいいか分からない」
そう感じている方は、一度立ち止まって全体を整理することが、結果への近道になるかもしれません。
ご興味のある方は、ぜひ体験授業や学習相談をご利用ください。お子さま一人ひとりの状況に合わせて、最適な受験戦略をご提案します。


