第1章:はじめに 〜アートと学びの夏へ〜
2025年の夏、大分市とその近郊エリアでは、子どもから大人まで楽しめる魅力的な展覧会が数多く開催されます。美術館や博物館を訪れることは、ただのレジャーではありません。それは、“本物に出会う”貴重な学びの時間であり、感性を刺激する冒険のような体験です。
特に夏休み期間は、学校では得られない体験型の学習や自由研究のヒントが詰まった展覧会が各地で企画されます。絵を描いたり、触って学んだり、あるいは歴史にタイムスリップしたり——子どもたちが“自分から学びたくなる”きっかけがそこにはあります。
本記事では、大分県立美術館(OPAM)や大分市美術館をはじめ、別府市・由布市の文化施設にて2025年7月~9月に開催予定の展覧会を、教育的・創造的観点からピックアップしてご紹介します。「自由研究のテーマにしたい!」「家族で週末に行ってみようかな」——そんな声が聞こえてきそうな、見逃せない内容ばかりです。
夏の思い出作りに、そして学びを深める時間として。
今年の夏は、アートと出会う旅に出かけてみませんか?
第2章:大分市内の注目展覧会
大分市では、2025年夏休みに合わせて子どもや学生におすすめの展覧会が充実しています。学びながら楽しめる企画が多く、美術・表現・歴史に関心を持つきっかけにもなります。
ここでは、大分県立美術館(OPAM)と大分市美術館、大分市歴史資料館の3施設をピックアップし、それぞれの展覧会の見どころをご紹介します。
● 大分県立美術館(OPAM)
生誕140年 YUMEJI展 〜大正浪漫と新しい世界〜
会期 2025年7月6日(日)~8月17日(日)
竹久夢二の生誕140年を記念した大規模な回顧展。夢二の「かわいい」の美学は、今の時代にも通じる新鮮さがあります。約180点の作品を通して、大正時代の文化や夢二の芸術世界を体感できます。中高生にとっては、美術や日本史の視点からも楽しめる内容で、自由研究の題材にも最適です。
チームラボ「学ぶ!未来の遊園地と、花と共に生きる動物たち」
会期2025年7月19日(土)~9月14日(日)
世界中で話題の体験型デジタルアート展が、大分に初上陸。自分の描いた絵が動き出したり、触れると色や音が変化したりと、五感を使って楽しめる仕掛けが満載です。「創ることの楽しさ」や「他人との協働」など、学校では得にくい体験ができ、創造力を育む最高のフィールドになります。特に小中学生にとっては、夏休みの思い出と学びが重なる貴重なイベントです。
● 大分市美術館
MINIATURE LIFE展 田中達也 見立ての世界
期間:2025年7月11日(金)〜 9月23日(火・祝)
日常のモノがユニークな発想で“別の何か”に見える、ミニチュア写真家・田中達也さんの作品展。ブロッコリーが森になったり、食パンがベッドになったりする世界観に、大人も子どもも思わず笑顔になります。
身の回りのものを違う視点で見つめる力が育ち、図工・国語・総合的な学習との相性も抜群。SNSで人気の作品に加え、大分限定の新作も展示予定とのことで、地元らしい楽しみ方も期待できます。
● 大分市歴史資料館
大分市の歴史を通して、地域の成り立ちや昔の暮らしに触れられる施設です。夏の特別展は未発表ですが、常設展示だけでも十分に学びがあります。豊後国分寺跡の出土品や民俗資料、戦争・昭和期の生活道具などを通じて、地域の歴史を肌で感じられる貴重な空間です。中学生の歴史自由研究や、高校生の地域研究にも役立ちます。夏休み中には体験イベントが開かれることもあり、家族での見学にもおすすめです。
◆ おすすめの活用ポイント
- 展覧会のパンフレットや解説文を読むだけでも学びに。
- 気になった作品について、レポートやスケッチにまとめてみる。
- 「どう見えたか」「なぜそう思ったか」を家族で語り合ってみる。
美術館や資料館は、アートや歴史に自然と触れられる“開かれた教室”です。ぜひこの夏、大分市内の文化施設を訪れて、感性と知識を磨く体験をしてみてください。
第3章:別府・由布エリアの文化体験スポット
温泉地として全国に知られる別府や、自然とアートが調和する由布院。これらのエリアには、観光だけでなく、子どもや学生の学びに活用できる展覧会・施設が充実しています。特に2025年夏は、地域の歴史やアートにふれられるイベントが多彩に開催予定。
ここでは、別府市美術館や由布市の美術館・資料館を中心に、教育的価値の高い展覧会をご紹介します。
● 別府市美術館
企画展「別府と観光と地図の歴史展」
期間 6月28日(土曜日)~8月3日(日曜日)
別府の観光発展を“地図”という視点から振り返るユニークな展覧会です。明治~昭和期の観光地図やパンフレットを通して、街の変遷や観光文化の歴史を学べます。地理や社会の自由研究にもぴったりで、地図好きの子どもにとってはワクワクする内容。関連イベントとして地図づくりのワークショップが実施される可能性もあるため、公式情報をチェックしましょう。
第68回 別府市美術展(市展)
期間 8月19日(火曜日)~8月24日(日曜日)
地域の芸術家や学生の作品が集まる公募展です。書道、絵画、写真、工芸など、ジャンルは多彩。美術を志す中高生にとっては、表現の幅を広げるヒントが満載です。高校生・大学生の作品も多数展示されているため、同世代の感性に触れられるのも魅力です。
鑑賞後は
「どの作品が好きだった?」
「どこが印象に残った?」
と語り合うのも良い学習体験になります。
夏休み作品・別府教育大博覧会
期間 9月9日(火曜日)~9月30日(火曜日)
別府市内の園児・児童・生徒の夏の課題作品を一堂に展示する教育イベント。絵や作文、理科実験や読書感想画など、子どもたちの“がんばり”が作品を通じて伝わってきます。
「他の子はどんな自由研究をしたのかな?」
と比較できる機会にもなり、自分の学びにも反映できます。入場無料で気軽に楽しめる点も魅力です。
● Art Fair Beppu 2025(アートフェア別府)
会期 2025年9⽉27⽇(⼟) 〜 29⽇(月)
会場 別府国際コンベンションセンター ビーコンプラザ
アーティストと直接交流しながら最新のアート作品を“見て・買える”全国規模の現代アートイベント。現代美術や工芸、イラストなど幅広いジャンルの作品が集まります。
高校生や大学生にとっては、アート業界の“今”を知る貴重な機会。ライブペイントやアーティストによるトークイベントも開催され、将来アートやデザイン分野を目指す人におすすめです。
● 由布院エリアの注目スポット
由布院駅アートホール
JR由布院駅構内にある小さなギャラリーで、無料で展覧会が楽しめます。駅100周年を記念した企画展をはじめ、地元作家や若手アーティストの作品が毎月入れ替わりで展示され、気軽にアート鑑賞ができる場として親しまれています。観光のついでに立ち寄りやすく、作品について直接話を聞ける機会もあります。
COMICO ART MUSEUM YUFUIN(コミコ・アートミュージアム由布院)
草間彌生や村上隆、奈良美智など現代美術の巨匠たちの作品がそろう本格派の美術館。
ガイドツアー制で丁寧な解説が受けられ、作品理解が深まります。建築と自然が融合した館内は、非日常の美的体験ができる空間。アートへの興味を育てる、少し大人向けの体験にもなります。
由布市歴史民俗資料館
由布市の昔の暮らしや伝統を学べる資料館。農具、生活道具、古文書などが展示され、地域の文化を知るには最適です。
夏休みの自由研究で「昔のくらし」をテーマにしたい子どもにおすすめ。ただし、開館日は火曜日のみと限られているため、事前の計画が必要です。
◆ 親子で楽しむためのヒント
- 展覧会のあとに“学んだこと・感じたこと”をノートにまとめる
- 地図やアート作品を参考に、自分なりの作品を作ってみる
- 学芸員のトークやワークショップがあれば、積極的に参加を
別府・由布院エリアは、アートと自然と歴史が融合する文化ゾーンです。観光にプラスして訪れることで、体験の質もぐっと深まります。家族での夏のお出かけ先に、ぜひご活用ください。
第4章:親子・中高生におすすめの学び体験付き展覧会
夏休みは、子どもたちにとって“学びが自由になる”貴重な季節。学校の教科書だけでは得られない、発見や感動に満ちた体験ができるのが、美術館や博物館の展覧会です。
大分・別府・由布エリアでは、創造力や好奇心を育てる教育的な展覧会が目白押し。親子での来館はもちろん、中高生が一人で訪れても心に残るような「知的な刺激」が詰まっています。
ここでは、自由研究や感想文の題材としても活用しやすい、学びの視点に富んだ展覧会を厳選してご紹介します。
◆ チームラボ「学ぶ!未来の遊園地と、花と共に生きる動物たち」
会場:大分県立美術館(OPAM)/会期:7月19日〜9月14日
世界的に人気の体験型アートが大分に登場。子どもたちが描いた絵がスクリーン上で動き出す「共創」の仕掛けに、夢中になること間違いなしです。
自らが参加者となり作品をつくるというスタイルは、創造力やコミュニケーション力を自然と育みます。絵を描く→動く→観察する→感じたことを言葉にする、という一連のプロセスは、図工・理科・国語など多教科に応用可能です。
◆ MINIATURE LIFE展 田中達也 見立ての世界
会場:大分市美術館/会期:7月11日〜9月23日
「見立て」=日常のモノを別のモノに見せるユーモアあふれる発想のアート。食パンがベッドに、消しゴムが冷蔵庫に…。そのユニークな視点は、子どもたちの想像力を刺激し、自分なりの“見立て作品”を考えたくなってきます。
観賞後は「自分でもやってみたい!」という意欲につながるはず。家庭での簡単な実践やスケッチブック活用も自由研究におすすめです。
◆ 大分市歴史資料館の常設展示・体験イベント
会場:大分市歴史資料館(通年開館)
戦前~昭和期の暮らしの道具、出土品、古文書などを通じて地域の歴史を学べる資料館。展示を見るだけでなく、夏休み期間には“はにわづくり体験”や“学芸員による解説ツアー”が実施されることもあります。こうした“体験+考察”は、歴史の学習に深みを与え、自由研究のテーマとしても優秀。親子で来館すれば、世代を超えた会話のきっかけにもなります。
◆ 別府と観光と地図の歴史展
会場:別府市美術館/会期:6月28日〜8月3日
観光地・別府の成り立ちを、明治〜昭和の地図やパンフレットでたどるこの展覧会は、「地図の読み解き」や「街の変化」を学ぶ絶好の機会です。社会や地理に興味がある中学生・高校生にぴったりで、「昔の観光と今の違いを比較する」といった研究にも発展できます。
関連イベントとして、地図づくりのワークショップが行われる可能性もあり、体験型の学びが期待できます。
◆ 夏休み作品・別府教育大博覧会
会場:別府市美術館/会期:9月9日〜9月30日
上の記事でも紹介しました、市内の園児〜中学生・教職員による作品展示。自由研究、図画、科学工作、読書感想画など、子どもたちの学びの成果が一堂に並びます。
「他の子はどんなことに取り組んだの?」
「こんな表現方法もあるんだ」
といった気づきが得られ、自分の取り組みの参考にもなります。作品の多様性を知ることは、感性と意欲の両方を育ててくれます。
◆ まとめ:展覧会は“考える力”を引き出す最高の教材
展覧会の魅力は、
「目で見て、心で感じて、言葉にできること」
何気なく見た作品が、後からふと気になったり、家に帰ってから“自分でもやってみたい”と思わせてくれることがあります。そうした体験こそ、学びの原点です。
夏休みの自由研究、読書感想画、図工課題――どれも展覧会の体験をもとにすれば、より深く・楽しく取り組めるはず。今年の夏は、ぜひ親子で、あるいは自分自身で「見て学ぶ旅」に出かけてみませんか?
第5章:展覧会を最大限に楽しむコツ
せっかく足を運ぶなら、ただ「見る」だけではもったいない。展覧会は、ちょっとした工夫や準備をすることで、何倍にも深く楽しむことができます。
ここでは、親子での鑑賞や中高生の自由研究に役立つ「展覧会の楽しみ方」をご紹介します。
◆ 1. 事前に「目的」を決めておく
「何となく行く」よりも、「◯◯を探してみよう」「自由研究のテーマを見つけよう」といった小さな目的を持っておくと、展示を見る目が変わります。
たとえば:
- 小学生なら:「自分の好きな作品を3つ見つけよう」
- 中高生なら:「作品の時代背景や作者の意図を考えてみよう」
- 親子なら:「感想を交換してみよう」
目的があると、作品との距離がぐっと縮まり、学びも深まります。
◆ 2. 館内では「見る・読む・記録する」を意識
美術館・博物館では、作品そのものだけでなく、解説パネルや展示の並び順にも学びのヒントが詰まっています。
以下のような「見る力」を育ててみましょう:
- 気になる作品はタイトル・作者をメモする
- 疑問に思ったことをその場でスマホにメモする
- 解説文の中で印象に残った言葉を記録する
作品を「見る」ことに加え、「読む・記録する」ことで、あとから振り返りやすくなり、自由研究やレポートにも活かせます。
◆ 3. 鑑賞後に「アウトプット」してみる
展覧会の記憶は、言葉や行動にしてこそ定着します。帰宅後に次のようなことをしてみましょう:
- 感想文を書く(自由形式でOK)
- 家族に作品の魅力をプレゼンする
- 自分の“見立てアート”やスケッチを描いてみる
- 展示を見て考えたことをSNSでシェアする
アウトプットすることで、作品の理解が一段と深まり、「考える力」「まとめる力」も自然と身につきます。
◆ 4. お得&快適に楽しむための実用ポイント
展覧会をストレスなく楽しむために、以下の点も押さえておきましょう:
- 混雑を避けたいなら… 平日午前中が狙い目です
- 入場料を節約したいなら… 前売券・家族割・障がい者割引を活用
- 長時間の滞在が不安なら… 館内のカフェや休憩スペースを事前にチェック
- 子ども向けの資料を探すなら… 館内受付や公式サイトでワークシートを入手
- SNSで事前に雰囲気を知りたいなら… 公式アカウントで過去の展示投稿をチェック
親子で訪れる際は、荷物や飲み物の準備なども含め、事前の段取りが快適な鑑賞につながります。
◆ 5. 展覧会から始まる、学びと感性の広がり
展覧会での体験は、一瞬の感動で終わらせるのではなく、「その後の学び」にもつなげていくことで、かけがえのない財産になります。
- 美術館でもらったパンフレットを切り貼りして、自分だけの図録ノートをつくる
- 気になった作家の他の作品を、図書館やネットで調べてみる
- 展示されたテーマ(例:大正ロマン、見立て、地図、歴史)から新しい本を読んでみる
展覧会は“入口”であり、そこから世界が広がっていきます。
この夏、ぜひ家族や友人と一緒に、美術館・博物館をめぐる「学びの冒険」に出かけてみてください。ただ楽しいだけじゃない、記憶に残る体験がきっと待っています。
第6章:まとめ|地元のアートで心と学びを豊かに
2025年の夏、大分・別府・由布の各地では、子どもから大人まで楽しめる展覧会が数多く開催されます。それらは単なるレジャーではなく、“学びのフィールド”としても非常に価値の高い体験です。
今回ご紹介した美術館・博物館の展覧会では、それぞれに「考える」「感じる」「表現する」きっかけが用意されています。特に子どもや学生にとっては、教室では得られないリアルな刺激があり、自由研究や創作活動に直結するヒントが詰まっています。
また、親子で一緒に作品を見て語り合うことは、心の成長にもつながる大切な時間です。「あの作品、どう思った?」「昔の暮らしって面白いね」といった日常の会話の中に、自然と学びが生まれていきます。
地元・大分のアートや歴史に触れることで、地域への愛着や文化的な視野も広がります。遠くの有名展だけでなく、身近な文化施設だからこそできる、じっくりとした鑑賞体験をこの夏は大切にしてみてはいかがでしょうか。
「見て終わり」ではなく、「見て、感じて、考えて、自分の中で育てる」
その積み重ねが、学力だけでなく、生きる力や感性を育てていくのです。
この夏、ぜひご家族で・お友達と・あるいは一人でも、
アートと出会う小さな旅に出かけてみてください。
きっと、かけがえのない学びと出会えるはずです。