中学受験を考える保護者必見!私立中学と公立中学のカリキュラム徹底比較と進度の違い

中学受験

 私立中学と公立中学の違いは色々あると思いますが、どの学校でも共通して言えることはカリキュラムが大きく違うということです。
中高一貫校は高校受験がないので高校内容を前倒しすることは知っていても、どのくらい前倒しするかなどのことは知らない方も多いのではないでしょうか。
本稿では、公立中学の生徒と中高一貫校の生徒を同時に教え、大学受験まで一貫して教え続けているプロ講師の目線で、私立中学と公立中学のカリキュラムの違いについて説明します。

1、私立中高一貫校と公立中学のカリキュラムと進度の違い

 中高一貫校と公立中学のカリキュラムの1番の違いは、中学内容にどのくらい時間をかけるか、高校内容にどのくらい時間をかけるかの違いです。
私立中学の場合、中学内容が2年間、高校内容が4年間という形になっています。
少なくとも大分県下の私立中学はすべて中学内容2年、高校内容4年という形になっていますし、公立中高一貫校である大分豊府中学も私立中高一貫校と同じカリキュラムになっています。
一方で、公立中学は中学内容が3年間、高校内容が3年間という構成になります。
大分で言えば、公立中学はもちろん、大分大学附属中学も公立中学型のカリキュラムになっています。
 このカリキュラム構成からわかるように、私立中学は中学内容を短い時間で進める一方で、高校内容はしっかり時間を取れています。
一方で公立中学は中学内容に時間を取って学べる一方で、高校に入ってからは一貫校と比べると学習時間は短くなってしまいます。
ここから考えると、

・私立中高一貫校は中学内容の進度が速い
・公立中学から高校受験をした場合は、高校での進度が速い

と言うことができます。
このカリキュラム上の進度の違いについて、それぞれのメリット・デメリットを提示していきます。

2、私立中高一貫校のカリキュラム上の違いによるメリット・デメリット

 先述したように、私立中学のカリキュラムは中学内容を2年、高校内容を4年という構成になっています。
このカリキュラムのメリット・デメリットを説明してきます。
このカリキュラムの最大の利点は、高校内容に時間をかけることができ、演習にしっかりと時間をかけることができる点です。
大分の公立高校だと共通テストギリギリまで教科書内容を進めていたりすることがあったりもしますが、一貫校では1年前に教科書内容を終えてじっくり演習ができます。
大学受験から逆算した際には、やはり高校受験分の1年間がないことは大きいと言えます。
逆にデメリットとしては以下の2点があります。

第一に、中学内容で躓いた際のリカバリーが難しいところです。
高校受験はある意味で総復習の機会であり、そこでしっかり中学内容を復習する機会があります。
一方で、高校受験のない中高一貫校の子はその機会がないため、一貫校の高校生の特定科目への苦手さには根深さを感じます。
かなり初歩的なことから教えないといけないので、つまずきを克服するのがより難しいです。
第二に、高校受験と並行して対策するのが難しいことです。
中高一貫校から高校受験は一般的ではありませんが、色々な事情で選択肢としてないわけではありません。
特に、大分の場合ですと大分高専への進学を考える場合がありますが、実際的にはこれがカリキュラム的な意味合いで難しいのが現状です。
中高一貫校の中3生は高校内容を勉強しています。これと並行して高校受験の対策をするのはかなり難しいと言えます。

ところで、中高一貫校は中学内容を2年で終わらせるので教科書を進めるスピードが速くて大変だという意見を聞くことがありますが、個人的にはそこまで問題にならないように感じます。
なぜなら、中学受験の内容自体がそもそも中学内容を大いに含んでおり、中学受験を経た一貫校の生徒は中学内容の先取りをしているからです。
さらに言えば、中学受験の勉強の強度を戦い抜いていれば中学内容を駆け足で進めても多くの生徒には問題はない場合が多いのではないかと思います。

3、公立中学のカリキュラム上の違いによるメリット・デメリット

 公立中学から高校受験を経て普通科進学校に進学するルートの場合、中学内容は3年、高校内容も3年のカリキュラムになります。
 このカリキュラムのメリットでもデメリットでもあるのは、高校受験の存在です。
高校受験を通して中学内容をしっかり復習して定着することができることは大きなメリットです。
実際に高校生を指導していると中学の基礎学力がしっかりしている子がより多い印象です。
一方で高校受験の時に一貫校生は高校内容を先取るため、高校入学時には1年の差が開いた状態で高校内容をスタートさせます。
この1年間の差を詰めるため、高校の進度はかなり速くならざるを得なくなります。
特に大分のトップ高校である上野丘高校の進度はとても速いです。
ここが公立中ルートのデメリットになります。

4、まとめ

 このようなカリキュラムの違いによるメリットとデメリットを指摘してきましたが、どちらが良いというわけでもないと思います。
実際に大学進学実績を調べても、どちらの方が有利かをはっきりと断言できるようなデータは見つかりません
さらに言えば、カリキュラムの違いよりも校風や授業の質や教育システムの方が生徒の学力に影響する要素は強いと思います。
また、塾を利用すれば公立中でも中高一貫校のように高校内容を先取りすることは可能です。
例えば、公立中学の在籍時に高校レベルの英語を学んで、英検2級まで取得するなども可能です。
また、一部の難関高校は高校内容を先取りしないと合格は難しい場合もあります。
学校のカリキュラムだけで学びが決まるわけではないことも注意したいですね。

タイトルとURLをコピーしました