成績を上げるよりも大切なこと
学習塾にとって生徒の成績を上げることは至上命題であり、成績を上げることができないと死活問題であり、塾の存在意義を問われることです。しかし、本当に成績を上げるだけでいいのでしょうか?
この記事では、「学習塾は成績を上げて当然」という常識にあえて切り込み、成績が上がることよりも大切なことについてお話したいと思います。
1、成績が上がるの「成績」は視野が狭くなっていないか?
「成績が上がる」という言葉が指し示す成績とは、一体何でしょうか?大抵の場合が、塾の確認テストであったり、学校の定期テストであったりします。
もちろんこれらのテストで点数を取れるに越したことはないのですが、本当の意味で大切な「成績が上がる」は別にあるはずです。すなわち、受験に合格するであったり、将来に困らないような学力を身に付けるであったりです。
ところで、一般的に「目の前の成績が上がり続けることを積み重ねることで学力全体が上がっていき、受験や将来に繋がっていく」と考えられがちです。しかしながら、個人的にはそれは論理的には正しいけれども、教育の現場や子どもの現実に即しているかは疑問です。教育はそんなに単純ではないし、積み上げたものもすぐに成果に出るものばかりではないと思います。
2、目の前の成績ばかりに囚われると失うもの
では、具体的に目の前の短期的な成果としての成績に囚われると何を失うのでしょうか?私が最も問題だと思うのは、勉強の認識を誤解してしまうことです。
すなわち、「勉強とはテスト範囲の内容や解法を暗記するものだ」という考えに染まってしまうことです。
中高生の定期テストにしろ、塾の確認テストにしろ、ほとんどがテスト範囲を指定されたものばかりです。テスト範囲の勉強をして成果を出す1番の方法は、テスト範囲の指定の教材を暗記してしまうことです。
テスト範囲の教材を丸暗記する定期テスト対策は広く行われています。中間期末テストの対策を謳っている場合の多くが、学校のテキストを覚えこませるやり方の対策を行っています。
この勉強法自体は間違っていないと思います。当塾でも定期テスト対策をしていますが似たようなことをやっており、定期テストで丸暗記の手法を取ることは結果を出すためには必要だと思います。
しかし問題は、その丸暗記の勉強法が勉強の本質だと思い込んでしまうことです。勉強の本質は頭を使って考えることであり、知的好奇心を伸ばすことです。この本質的な部分を失わせていると感じることはとても多いです。
目の前の成績も大切ですが、勉強の本分の部分が欠けていないかを見定めることも大切です。なぜなら、結局のところ長期的な学力や受験結果を求めると、考え抜いたり知的好奇心があったりすることが実は一番必要だからです。
当塾では、1対1指導でこの点に最大限に気をつけています。マンツーマン指導=教え込むというイメージがありますが、優秀な指導者ほど子どもが考える場面をしっかり設定します。
なぜなら、その瞬間にこそ最大の教育効果があると知っているからです。1対1指導塾ブリエットのプロ講師はこの点をしっかり踏まえて、お子さんの考える力や知的好奇心を伸ばす指導を心がけています。
3、成績が上がるよりも大切なこと
ここまで「考え抜くこと」や「知的好奇心」の大切さを説いてきましたが、それはあくまで長期的な結果を出す文脈でした。しかし、考え抜くことや知的好奇心を持つことは、受験や成績以上の価値を持ちます。すなわち、人間性の成長であり、なにより自己肯定感を押し上げるものになります。
勉強を通じて人間的に成長すること、自己肯定感が高まること。このことを強く印象づけられた経験があります。
家庭教師で指導していたA君は、いつも数学のテストで30点くらいしか取れていませんでした。引っ込み思案な性格で、学校の授業でわからないことがあってもなかなか先生やクラスメイトに質問できず、テストではなかなか点数が取れないという状況でした。
家庭教師の指導を始めて、わかっていなかった部分を1つずつ解決していき、迎えた最初の定期テストは数学で70点を取って帰ってきました。お母様はとても喜んでいたのですが、A君本人は全く喜んでいませんでした。70点の答案もなかなかお母様には見せようとはしなかったそうです。お母様は不思議に思っていましたが、私にはすぐに理由がわかりました。
「本当はもっと点数が取れると思っていたんじゃないのかな?」
と私が尋ねると、静かに首を縦にふりました。実際に見直しをしてみると、彼の力であればもっと点数は取れていると思いました。
A君のこのエピソードはかなり前のことですが、私の中ではとても大きなことで、今でも鮮明に覚えています。成績を上げることは大切ですが、成績を上げるもう一歩先の人間性を育てたいと心の底から思い、今までそれを実現しようとしてきました。
1対1指導塾ブリエットは、学習塾ではありますが、成績を上げるだけの塾ではダメだと思っています。成績を上げるような人間性を育て、成績を上げた一歩先に「自分は到達できる」という志の高さを保障する自己肯定感を高められる塾を目指しています。